生まれながらに痛みを知らない「先天性無痛無汗症候群」

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「先天性無痛無汗症候群」・・・その名の通り痛みを感じず汗もかかない珍しい病気である。症状だけ聞くと逆にそっちのほうがいいじゃないかなんて思うかもしれないが、そんなことはない、大変な苦痛を味わう病である。

痛みを知らない

先天性無痛無汗症候群は常染色体劣性遺伝形式をとる遺伝病(つまり遺伝病の中でも発生しにくい)で、生まれながらにして痛みを感じず、汗もかかない病気である。原因は今のところ不明で、治療法も発見されていない。

痛みを好きな人はなかなかいない。しかし痛みというのは身体のもっとも大切な防御機構の一つである。

他人に骨折を指摘され初めて気づく

スティーブンとその兄(http://www.bbc.com/news/magazine-18713585)

スティーブンとその兄(http://www.bbc.com/news/magazine-18713585)

スティーブンの例を紹介しよう。彼とその兄は先天性無痛無汗症候群の患者であった。それに気づいたのは生後4,5か月のころ、歯が生え始めたスティーブンが自分の舌を噛んでいることに気付いた母親が彼を病院に連れて行ったのがきっかけだった。スティーブンは結局このこととで舌の4分の1を失うことになる。

こんなこともあった。幼いスティーブンがローラースケートで転んだ。起き上がると、周囲の人たちは彼の足を指さしている。スティーブンが自分の足を見てみるとなんとズボンは血まみれで、折れた骨がズボンを突き破って出てきているのだ。

スティーブンが恐れているのは外傷だけではない。外からではわかりにくい内臓痛である。当然内臓痛も感じないため、なにか重大な疾患を患っていたとしても手遅れになるまで気づかない可能性があるのだ。

痛みに感謝すること

先天性無痛無汗症候群を患う3歳のギャビー・ジングラスちゃんは、歯が一本も生えていない。なぜなら舌を噛み切ろうとしたり、物を噛んで歯を折ったりしてしまうためにすべての歯が抜かれてしまったからだ。彼女のような先天性無痛無汗症候群の患者は非常に症例が少なく、医師も完全にお手上げ状態だという。ギャビーちゃんの母親はこのように語っている。「痛みを感じなくとも、幸せだけは感じて欲しい」

(参考)
・BBC News
http://www.bbc.com/news/magazine-18713585
・X51.ORG
http://x51.org/x/04/03/0224.php