致死率100%の謎の寄生虫「芽殖孤虫」

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gasyokukotyu 寄生虫と聞いただけで不気味な印象を受けるが、そんな中でもことさら奇妙で恐ろしい寄生虫が「芽殖孤虫Sparganum proliferum」である。この寄生虫は多くの謎に包まれていながら致死率は実に100%!しかも世界の感染報告のうち半分は日本で発生しているという恐ろしい寄生虫である。

なんの幼虫なのかわからない

台湾の患者から採取された孤虫(引用)CDC Web http://www.cdc.gov/dpdx/sparganosis/

多くの寄生虫には幼虫と成虫がある。寄生虫によってその生活環は様々であるが、一般的に成虫よりも幼虫のほうが重篤な症状を起こしやすい。というのも、そもそも寄生虫というのは宿主に死なれてしまっては困るわけで、その宿主の中で成虫まで成長できてしまうような種類の寄生虫は宿主にあまり迷惑をかけないようにおとなしくしているものであるからだ。重篤な症状を起こす幼虫というのは、本来の宿主でない誤った宿主に感染してしまった時に、成虫になることができずに幼虫のまま身体の中を這いまわったりすることで大きな影響を及ぼしてしまう。(このような症状を幼虫移行症という)

したがって、重篤な症状を引き起こす寄生虫を体内から採取してみるとそれは幼虫であることが多いのだ。ほとんどの幼虫は検査すれば成虫が何であるかわかる。しかし、稀に何の幼虫であるか(成虫がなにであるか)わからないものも存在する。そのような幼虫のことを”孤虫”と呼ぶ。

日本ではじめて発見された

患者の摘出皮膚の裏面(吉田 幸雄、有薗 直樹『図説 人体寄生虫学』改訂8版 南山堂,P195)

患者の摘出皮膚の裏面(吉田 幸雄、有薗 直樹『図説 人体寄生虫学』改訂8版 南山堂,P195)

芽殖孤虫は1904年に東京で発見され、1905年に命名された現在に至っても成虫が発見されていない真の孤虫である。(ほかの孤虫としてはマンソン孤虫などが知られているが現在は成虫が発見されている)成虫が発見されていないため、その感染経路は全く不明であるというから恐ろしい。虫体は数mm程度で、ワサビかショウガの根のような形をしていると言われている。虫嚢の中に入っていることが多いが、次々に芽を出して分離していき、次第に増殖してついには人体のあらゆる軟部組織(皮膚や内臓)を埋めてしまうのだ。

治療法は・・・ない。

目黒寄生館に展示されている芽殖孤虫(http://blog.livedoor.jp/cn221283/archives/50531417.html)

目黒寄生博物館に展示されている芽殖孤虫(http://blog.livedoor.jp/cn221283/archives/50531417.html)

文献によると現在までに日本で8例、海外で7例の合計15例報告されていて驚くべきことにその全員が死亡している。寄生されたら最期、もうなす術はない。

興味がある方は目黒寄生虫館で標本を見ることができるのでぜひ足を運んでいただきたい。

(参考)
・CDC Web
http://www.cdc.gov/dpdx/sparganosis/
・Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%BD%E6%AE%96%E5%AD%A4%E8%99%AB
・『図説 人体寄生虫学』(南山堂)

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